ムーンストーンの意味や効果は?歴史や品質の見分け方なども解説
ムーンストーンはその名の通り、月の光のようなやわらかな色合いが特徴の宝石です。月光のような神秘性を感じる宝石であり、昔から愛されてきました。本記事では、ムーンストーンの概要や石言葉、主な産地、歴史、カラーなどをご紹介します。
ムーンストーン
ムーンストーンは、月の光のようなやわらかでやさしい色合いが人気の石です。月は古来より女性を司ることから、女性が持つことでより美しさが増すともいわれています。また古くから「聖なる石」として、危険から身を守るためのお守りとしても使われてきました。
「恋人たちの石」「愛を伝える石」ともいわれており、情熱的なパワーを秘めていると考えられています。そのため、自分へはもちろん大切な人へのプレゼントとしても使われています。
ムーンストーンの石言葉
ムーンストーンは別名「月長石」と呼ばれており、宝石言葉は「健康」「幸運」「恋の予感」です。恋を呼び寄せたり、恋を成就させたりする効果を期待して身に着ける人が多かったとされます。また片思いの相手への贈り物として使用される場合もあります。
さらに月は女性的なエネルギーを持つといわれていることから、子宝や魔除け、復縁などのエネルギーを引き出すのに適しているとされています。
ムーンストーンの特性
ムーンストーンは、長石という鉱物の一種です。長石のグループ石には、ラブラドライト、サンストーンなどがあります。いずれも同じ鉱物の一種とは思えないほど多種多様なのが特徴です。和名では「月長石」と呼ばれています。
ムーンストーンの独特な光を発生するメカニズムは、成分の異なる2つの層が重なって発生します。薄い層がいくつも重なると光が反射、干渉し、独特の輝きを生みだしています。ムーンストーンと呼ばれるのは以下の成分を有したものだとされています。
・オーソクレースを主としてアルバイトを含んでいるもの
オーソクレースを主として、アルバイトを含んでおり、2種類の層が重なることで、ムーンストーンの特徴ともいえる光の効果となる「シラー」を見ることができるとされます。
・サニディンとアルバイトを含んでいるもの
サニディンとアルバイトを含んでおり、薄い層を交互に形成したものもムーンストーンと呼ばれています。
ムーンストーンの独特な輝きは「シラー」と呼ばれています。シラーとは、ドイツ語できらめきを意味する「Schiller」に由来すると考えられています。ムーンストーン以外にもシラーが見られる宝石は多いですが、一つひとつ輝きが違うため、選ぶ際には手に取って好みのものを選択することをおすすめします。
一般的なムーンストーンは乳白色、または半透明のものが多いです。ほかにもオレンジやイエロー、グリーン、グレー、ブラウンなどの種類があります。
ムーンストーンの主な産地
ムーンストーンの主な産地はスリランカやタンザニア、インドなどです。
スリランカ
スリランカ産のムーンストーンは、透明度と鮮やかさに秀でているとされます。近年、産出量が減っていることから、コレクターの間で価値の上がっている宝石の一つです。またスリランカは、レインボームーンストーンが産出する場所としても知られています。レインボームーンストーンは、ミティヤゴタのペグマタイト鉱床で採掘されています。透明度と青い鮮やかなゆらめき、美しい虹のような効果を見せてくれるため、人気があります。
タンザニア
タンザニアはムーンストーンの産出地としては比較的新しい場所とされています。主にモロゴロ地方などで採掘されています。
インド
南インドにあるナードゥ州などで産出します。ムーンストーンのほか、アクアマリンやサンストーン、アメジストなども産出するとされています。
ムーンストーンの歴史
プリニウスの「博物誌」やアルベルトゥスの「鉱物書」などにも、ムーンストーンと見られる石の記載があることから、紀元前から人々に知られていたと考えられています。
昔は、ムーンストーンは「月の光が固まったもの」として信じられていたそうです。ムーンストーンの独特の輝きは、ムーンストーンの中に住んでいる精霊の輝きだと信じられていました。
古代ローマでは、月の満ち欠けに応じて石の大きさが変わるとされており、その輝きは月の女神ダイアナによるものだと考えられていたそうです。またアジアに伝わる伝説では、月が出ている夜には雨が降らないことから「涙知らず」の宝石とされていました。
ムーンストーンは女性を司ると信じられているように、多くの地域で「女神」の宝石として人気があります。
中世ヨーロッパでは、恋人たちがムーンストーンを贈り合い、愛と絆を深める習慣があったそうです。また月光の下でムーンストーンを口に含み願い事を唱えると、願いが叶うなどの伝説も伝わっているとされています。
1997年に南インドの鉱山労働者が「パロットグリーン」と表現されている、明るいグリーンの色合いを持った新種のムーンストーンを発見します。このムーンストーンは、通常のムーンストーンの特徴的な青い輝きが、緑色の中に浮かんでいるものでした。この宝石は淡いイエローにも輝いており、ムーンストーンにもカラーバリエーションがあることが発見されました。
ムーンストーンのカラー
ムーンストーンのカラーバリエーションには以下があるとされています。
色名 | 特徴 |
ブルー | ライトの反射により美しい青い輝きを有しているものもある。最高級のムーンストーンはエレクトリックブルーの光沢のある輝きが特徴。はっきりと青白いシラーが見られるものは「ロイヤルブルームーンストーン」と呼ばれることもある。 |
グリーン | グリーンムーンストーンは淡い色合いが特徴。ムーンストーンのカラーバリエーションの中でも珍しい色合い。光を当てる角度を変えることにより、ムーンストーンの特徴であるシラーが浮かび上がる。 |
ブラック | 内包物によって黒く輝いて見えるのが特徴。 |
グレー | 強い光を当てると表面が灰色に反射するのが特徴。見る角度によって光の筋が動くことできれいに見える。 |
オレンジ | 強い光を当てると表面が白色に反射するのが特徴。オレンジより少し淡くピンクがかったものはピーチムーンストーンと呼ばれる。 |
レインボー | 雲のような光と色の動きがあり、虹のような反射を見せることからレインボームーンストーンと呼ばれる。 |
肉眼で見ると、専門家でない限り「ブルームーンストーン」「ロイヤルブルームーンストーン」「レインボームーンストーン」「ペリステライト」の区別はつきにくいとされています。
またペリステライトはムーンストーンかどうかという議論もあります。ペリステライトは、近年発見された斜長石の種類の一つです。青白い光を浮かべることから、一見するとブルームーンストーンに似ています。鉱物成分と結晶構造が少し違うため、当初はムーンストーンとして扱われていませんでした。現在では、ペリステライトもムーンストーンとして扱われることが多いです。
さらにムーンストーンの中には猫目効果「シャトヤンシー」を表すものもあります。これらは「キャッツアイ・ムーンストーン」と呼ばれています。また、星のような形に見えるスター効果があるものは「スター・ムーンストーン」として知られています。こうした効果のあるムーンストーンは非常に珍しいことから、価値が高いものとして重宝されています。
ムーンストーンの品質の決まり方
ムーンストーンは主に背景色、光沢、色の方向で品質が決まるとされています。
ムーンストーンの色
価値が高いとされるムーンストーンは、内包物がなく、無色から半透明・透明に近い色合いのものとされています。また最も価値が高いとされているのは、光を当てることで、まるでガラス質のようなブルーの輝きを放つものといわれています。どんな角度から見ても、きれいな青色の輝きがあることが条件の一つです。限られた角度でしか青色に輝かないものは、価値が下がるとしています。
ムーンストーンのクラリティ
良質なムーンストーンはあまり内包物がないものとされています。ムーンストーンの代表的な内包物には「ムカデ」と呼ばれる亀裂があります。これはわずかな応力でも生じてしまう内包物のことで、この亀裂がまるでムカデのように見えることからこう呼ばれています。
こうした内包物が目立たないものほど、価値が高いとされています。
カット
ムーンストーンの最も一般的なカットスタイルは、カボションスタイルとされています。これはムーンストーンの多様な色彩を最大限に表現できる形といわれています。カボションカットは通常楕円形ですが、四角形ベースのものもあります。
ムーンストーンのお手入れ方法
ムーンストーンは耐久性に優れている鉱物のため、水で洗浄することができるとされています。また汚れがひどい場合は、中性洗剤とやわらかいブラシを使って洗浄します。ブラシは毛先がやわらかいものを利用しましょう。ブラシでジュエリーのこまかい凹凸にそって汚れを落とすように洗浄します。ジュエリー用のブラシや洗剤なども販売されているので、そちらを利用するのもおすすめです。
洗浄後はしっかりと水洗いを行いましょう。水洗い後は、細部までタオルで水気を丁寧に拭き取ります。
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月の光のようなムーンストーンを身に着けよう
ムーンストーンは幅広いサイズとカラットで提供されている宝石です。一見、乳白色の淡いやさしい光を放つ宝石ですが、光を当てると表情豊かな色合いを見せるのが特徴です。ムーンストーンは6月の誕生石でもあるため、6月が誕生日の人や贈り物にもおすすめです。ぜひ自分にぴったりのムーンストーンを見つけてみてはいかがでしょうか。